再生への旅

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zoom RSS 能登半島地震から7年目を迎えて

<<   作成日時 : 2014/03/25 05:33   >>

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忘れずに思ひ出せずにあたたかし 玉宗

今から7年前の平成19年3月25日午前9時41分、能登半島地震に被災して興禅寺は全壊した。

天井の下敷きになった夫人を助け出し、二人して外へ逃げ出した。
ふり返るとさっきまで生活していた伽藍が無残な姿となってそこに横たわっている。そのときの私の実感というか感慨は、夫人とともに命拾いをした安堵感もあったが、全壊したお寺の再建の困難さが直感的に脳裏に浮かびもした。そして何よりも強く感じたのは、この震災にめぐり合うために今日まで生きてきたのだなという思いだった。そして思わず、全壊したお寺の残骸へ手を合わせていた私がいた。

「今日まで立っていてくれてありがとう。」

それはなんだか、今にして思えば自分が生きてきた五十年余の人生へ手を合わせているようでもあった。

それまでの私の生き様、出家したひとりの仏弟子として、人間としても、「初心に帰らせてくれてありがとう。無一物にしてくれてありがとう。」という予想もしなかった思いが湧いてきていたのを忘れることができない。震災にめぐり合う為の人生であったという捉え方もあながち見当違いではない。それはまた、まるでこの現実にめぐり合うために私が選ばれたようでもあった。

負け惜しみでもなく、気づかされたことへの有難さというようなものもあった。この現実とは、自分の生き様の集積であり、必然とも偶然ともいえるもの、いずれにしても計り知れない「縁」としか言えない巡り会わせなのだと否応もなく実感させられたものである。そこには肩の荷が下りたような気楽ささえあった。

「どん底なのだから、もう競争しなくてすむ。背伸びしなくてすむ。欺かないですむ。笑われたっていい。自分が自分でありさえすればいい。ありのままでありさえすればいい。」

生まれてきたことも、生きてゆくことも、成功も失敗も、毀誉褒貶も、出会いも別れも、そして死んでゆくことも、「縁」という不思議な、本質的に選べない大きなめぐりあわせ、働き、天の采配なのだと気づかされたのである。私はなにも知らないに等しい存在であった。だからこそ生きていたのであるという逆説。それはつまり、私と云う取るに足りない人間が生かされて生きているという現実をありのままに受け入れようとしていたということでもある。それは自己への絶望の果ての光明のようでさえあった。

あれから7年。
被災から学んだことを忘れないようにしたいとは思っているが、被災者であったことに拘るつもりもない。
九死に一生を得て生き伸び、再び生まれ変わる機会を与えてもらい、初心に帰らさせてもらった私という小さな存在。それはそれで絶対的体験ではあったし、そのような自覚を齎した「震災」という「縁」は、まさに誰のものでもない私だけの「人生の宝」といって過言ではなかった。

そうではあるが、大事なことはこの「宝」をどのように今後の人生に活かすことができるのか、それだけが私に問われているのだと今でも思っている。



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「昼酒」

昼酒に死して悔いなき初蛙

青饅や夫婦暮らしも手慣れたる

鏡なす磯の水面や若布刈舟

蜆汁銭を浚へる音すなり

北窓を開けて山の香山の音

桜餅喰ふに日なたをさがしけり

亀鳴けば五七五と指を折り

春風の少しかろやか過ぎる日ぞ

遺されし母の窓辺の目貼剥ぐ

草餅や形見のごとき次男坊




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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
おはようございます。
能登の地震から7年、一入の感慨であられることを拝読しております。
益々のご夫婦円満、お言葉を借りれば「お宝を活かす」ことをお大事になさってくださいませ。
花てぼ
2014/03/25 08:02
花てぼ様。
いつもありがとうございます。
震災前と大して代り映えのしない自分ではありますが、微妙な違いは自分が一番よく知っているつもりです。この先も流れに任せて生きていく柔軟さを忘れないようにしたいものです。お元気でお過ごしくださいね。合掌。(^^)
市堀
2014/03/25 18:34

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