再生への旅

アクセスカウンタ

zoom RSS 今日の羊頭狗肉・修行とは何か?!

<<   作成日時 : 2014/10/07 08:42   >>

トラックバック 0 / コメント 0

画像


露けさに眠るも僧となりしより 玉宗


修行とは何か?とは随分大上段な物言いではあるが、在家の方々に「修行ってなんですか?お辛いでしょうね。」みたいなことを未だに少なからず聞かれもし、そのような言わば同情の目で見られたりもしているわけで、人生、それは自己の命を耕す道程であることはお坊さんだけではなく、どのような社会に生きる人間でも、歩んでいかなければならない真相ではあろう。というようなわけで、当然ながら、お坊さんにはお坊さんの世界に通じる修行の真偽、通塞というものがある。

私が出家した動機はこのブログでも何度か明らかにしてきたつもりである。自分の無知と恥を晒すようで何であるが、お坊さんになること、それは社会を離れて山寺に棲み、隔絶した生活をいとなんでいるというイメージを持ち合わせていたに過ぎなかった。「逃げ」である。人生に行き詰まり、落ちこぼれた者のなれの果て。然し、それは私自身の思いこみに過ぎなかったことを知るのにそう手間も暇も掛からなかった。

得度して初めての修行道場は愛媛県新居浜市の瑞応寺専門僧堂であった。起床から坐禅・勤行・食事・作務・講義・托鉢・入浴・就寝等、四六時中古法に則って仏の生き方を習うというのが禅の姿勢であることを身にしみて知らされることになる。
瑞応寺は市の郊外にあり、街の喧騒を離れていた。新参者は托鉢以外用がなければ町へ出ることもない。お坊さんになる前にイメージしていた生活ぶりと違うところと言えば、修行が私一人ではなく、「大衆・だいしゅ」と呼ばれる修行仲間・同安居の雲水達との共同生活であったということである。結構賑やかで、人間臭い場所だった。「お坊さん」それは一つの前向きな社会性を持った主体的な生き方であった。田舎者の私にとってそれは一種のソウシャルショックであった。

団体生活ともなると、そこにはプライバシーというものが出家以前に比べると無いに等しい。恣意に過ごせる「私的時間」というものが許されないのである。そのような隠し事より「公なるかたち」が先ず優先した。嫌も応もなかった。坐禅がその最たるものである。足腰が痛くても逃げ出す訳にもいかず、思いはメタンガスのごとく沸々と沸いては消え、妄想の限りを繰り返す。日々の僧堂生活に於いても、「わが思い」を優先しては、痛い目にあったりして、そのような愚かさや行き詰まりや失敗を繰り返しては「逃れるべきは社会ではなく私自身の愚かさである」ということを知らされる。

それでもなんとか辛抱して「かたち」にしがみついてゆく。終いには「思い」そのものも無くなり、或いは「思い」そのものが気にならなくなる。「わが思い」との間の取り方といったものを身に着けるようになる。ならざるを得ない。修行、それは「私」というものに「拘らない」生き方、「拘る私を忘れる」生き方を身につける実践だったのである。自分に拘って、自分に降参し、自分を持て余し、社会を見限ってお坊さんになった人間が、自己を忘れることによって自己を最大限に活かす、そんな逆説的な生き方で社会参加への再生を果たさんとする。いのち、こんな矛盾の最たるものはない。

お坊さんという生き方。それもひとつの文化である。一度生まれただけでは人間とは言いがたく、なんども生まれ変わり、死に変わりしなければならん類の人間がいる現実がある。修行とはそんなお坊さんという文化人となるための手間隙でもある。仏法的には自己が自己に落ち着く道程そのものだということでもある。自己という本物を、或いは本物の自己を私以外の誰が担えようか。そこは傍目の同情に左右されない苦楽を超えている世界であることは言うまでもない。


画像



「うそ寒し」

頭陀袋壁にやつれてうそ寒し

地滑りのやうに掻きこむとろゝ汁

けふもまた術なく釣瓶落しけり

サフランや衣一枚の日を伸べて

昨日のやうに烏飛び発つそぞろ寒

死ぬことのもつてのほかで菊膾

迸る尿うつくしや露時雨

大蓼の辻に吹く風ありにけり

蓑虫にへばりついたる夜かとも

雁や瘡蓋すぐに剥がす癖



画像



「紅葉狩」

筒抜けの空の下なる紅葉狩

歳月を壊さぬやうに紅葉狩

村雨や洗ひ晒しの照紅葉

大風の吹き晴らしたる十三夜

海荒れて今宵は月の名残りかな

姥月や首擡げたる枕上

野ざらしの風揉み合へる芒原

秋燕に感けて任を解かれたる

飯粒や世を捨てかねてうそ寒し

烏瓜火の色尽くし成り下がり

素十忌や芥のごとき萩の屑






テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
今日の羊頭狗肉・修行とは何か?! 再生への旅/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる