再生への旅

アクセスカウンタ

zoom RSS 今日の教外別伝・「ばだぐぞ!」についてのこころ

<<   作成日時 : 2015/01/24 21:25   >>

トラックバック 0 / コメント 0

画像


 雪吊りの縄の緩びも春隣 玉宗

以下の見解は私の独断であり、むかし故郷で使っていたという以外に何の根拠もない話しである。
先日、NHK朝の連続ドラマ「マッサン」を見ていたら懐かしい北海道言葉が耳についた。風間杜夫扮する虎熊が吐いた一言。「ばたぐぞ!」である。聴き逃した方も多かったと思うが、あれは情況的に間違いなく「ばだぐぞ!」であった。「ばだぐ」は「ひっぱたく」「叩く」が訛ったものではないのだろうか?それに「ぞ!」という威しの語尾がついた訳。そのほかに「ばだぐ」「ばだがれる」「ばだぐぞ」「ばだぐな」「ばだげ」といった活用がある。まあ、自慢話にもならんが・・・。

なにはともあれ、数十年ぶりに聞いた言葉を忘れていなかったことに我ながら驚いた。ふるさとは懐かしNHKに訛りを聞きに行く、といったところか。

北海道は開拓地であるところは知らぬ人とてなかろう。アイヌという先住民族の住んでいた北の大地へ「内地」から移り住んだ先祖の苦労とは想像を絶するものであっただろう。会津を裏切り者として追はれて生きて来た男が北海道で鰊漁に夢を託したのは、家族へ「帰るべきふるさとを残してやりたい」という男の夢があった。マッサンもまた北の大地に誰にも、何者にも邪魔されない自由の天地にあこがれたのではある。そして注目すべきは北の大地が自由の天地なのではなく、北の大地に自由の天地を創造する私が生きているのだということに目覚めよという一言である。

生きているここが新天地。生きているここが最果て。自由が外にあるのではなく、自由は外から齎されるのではなく、私が自由に人生を羽ばたけるかどうかが問題のである。

ところで、私は道南の漁師町に生れた漁師の次男である。父から先祖の話しを聞くこともなかった。今となっては口惜しい限りである。この歳になって、そして家を出て仏弟子となった身ながらも、わが魂のルーツを探りたい衝動に駆られている。一度だけ、実母から「福島」に親戚がいるという話しを何気なく聞いたことがある。そういえば、毎年のように今は懐かしい「木箱」で林檎や柿が送られてきていた記憶がある。喰うことにしか興味のなかった私には「福島」のどこから送られてきているのか知ろうともしなかった。

父は口数の少ない男で、正直に馬鹿がつくようなところがあった。自分を自慢する事はしない。人を貶すようなことはなかった。どちらかと云えば人の良い、優しい男だった。酒は焼酎一本やり。酔うと饒舌になり、晩年は泣き上戸になっていた。漁師として働きぶりは、子どもの眼にも「プロ」「職人気質」といったところがあった。父も親の跡を継いで漁師となったようだったが、漁師らしからぬ気の弱いところもあった。自ら進んで跡を継いだのかどうか、あやしい。そうだったとしても、次男である私はもとより、亡くなった長男の兄にさえ跡を継ぐことを強いるようなそぶりを見せなかった。底が知れているようで知れない。なにを考えているのか分かるようで分からないような父だった。やりたいことが他にあったのではないか。夢破れて漁師をしている、といった気負いのなさが漂っていたのである。

そんな父に私は一度も「ばだがれた」こともなかったし、大きな声で叱られた記憶もないのである。人と競う事は苦手で、黙々とわが道を生きるといった風情があった。父は自由に生きていたのだろうかと、ふと思う。



画像



「顔」

外にも出て遊べとばかり鳴く笹子

甘いもの買ひに雪解け橋渡る

すれ違ふ冬闌の顔をして

不景気な顔して梅を探りをり

寒泳のやがて真顔となりにけり

くしやくしやの変な顔して鼻ひりぬ

罰のごと紅き眼をせし兎かな

へつついに情けない顔して猫汚れ

ふり返る鼬の顔に見覚えが

寒菊とひとゝき日差し分かち合ふ




画像


「風花」

風花に昼は閉ざせる酒場かな

ホステスに見送りされて冴ゆる夜を

寒月下女に罵倒されてをり

手袋を届けてくれし素顔かな

待ち合す夜の向かうのインパネス

水を売る女恋せぬ氷柱かな

騙されて性懲りもなく春を待ち

場末にてひとりし生きる寒さかな

冬鳥のやうに人を信じられない顔をして

駆落ちの男と暮らす毛皮かな

笹子来て愛の如きを囁きぬ



画像



「春を待つ」

春を待つ柱時計に捩子を巻き

だれよりも徒なるものが春を待ち

海の色ひそかに春を隣りして

鰤起し太郎の家を震はせて

偶に来る本家の太き氷柱かな

お朝事の窓明かりにも日脚伸ぶ

風花や空の剝落始まりぬ

大寒を過ぎしころより泪して

寒卵予定調和の難があり

裏山に靄たなびかせ冬安居








テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
今日の教外別伝・「ばだぐぞ!」についてのこころ 再生への旅/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる