再生への旅

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zoom RSS 拝啓、良寛さま・災難をのがるる妙法

<<   作成日時 : 2015/10/14 17:12   >>

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富山より藁買ひに来る能登暮秋 玉宗




拝啓、良寛さま。
東北地方太平洋沖で大地震が起きてしまいました。だれも予想し得なかったような大地震と大津波が、多くの無辜の日本人を攫い、多くの被災者を生み出しました。復興へは長い年月が掛ることでありましょう。今、この時も、復興へ向けた多くの被災者、支援者の尽力が為されております。未だ安否の確認できない方々も多く、お坊さんも又、お寺を流され、お墓を流され、お檀家さんを流されてしまいました。社会の話題にはまだ上りませんが、彼らお坊さんの復興も又、前途多難でありましょう。
 
良寛さまが七十一歳の時に京都で大地震が起きました。三条付近は大きな被害に見まわれたとあります。良寛さまは友人の山田杜皐さんを励ますために手紙を書きましたが、その中に、現代人もよく知っている次の一節があります。

『災難に逢う時節には、災難に逢うがよく候。死ぬ時節には、死ぬがよく候。是ハこれ災難をのがるる妙法にて候』

災難から逃れるために人間は、文明の知恵を尽くして努力し、災難に学んできた歴史であったとも言えましょう。当時も今も、被災者や復興に関わる人達にとって、良寛さまの言葉は到底受け入れられないトンチンカンなものであるかもしれません。それは、禅問答が畢竟、私ひとりの迷いを払拭させる地平へ誘おうとするものだからではないでしょうか。災難を待ち望む者はおりません。災難に遭うこと、それは幸運と出会うのと同じように、出会いがしらの、思いの外の「縁」というべきものです。「縁」から「逃れる」ことが出来るというのも、弱い人間ならではの転倒妄想でありましょう。

災害を防いだり、その被害を最小限に抑えることは可能かもしれません。人間の歴史は、災難から「逃げ」、幸運を招き入れる歩みでもありました。人生にはさまざまな災難、苦難、困難があり、文明は人知を尽くしてその災難への受け身を学んできた道標です。言い換えるならば、それらは全て人間の条件である「外」への働きかけ、作為でありましょう。仏法は、「内」へ向けた人生の受け身を学ぶ一つの道ではないでしょうか。私の、身と心に起きる災難からの受け身が宗教の領域というものであることをこの言葉は気付かせてくれます。良寛さまはお坊さんの守備範囲を逸脱せず、誠実にお答えなされました。どんなに逃げても逃げ切れない、私の迷い、煩悩があり、生死があります。それが「外」の災難よりももっと始末に悪い問題であり、又、その問題の自己に於ける根本的解決が災難から立ち上がる最も確かな妙法であることを良寛さまは確信なさっておられたことでしょう。

良寛さまは、何が起きるか分からない人生を、あるがままに、抗うことなく、執着せず、欲に絆されず、淡々と生きる覚悟を静かに語られました。その生きざまは社会的には無能な人間に映っていたことでありましょう。小賢しい、作為を超えた、社会の毀誉褒貶に関わらないことが「内」なる受け身の為せる業であることを理解している人は、今も昔も少ないのかもしれません。死を逃れられない人生に於いて、「逃れたい」という貪りがあります。人生に於ける災難からの受け身。その対処法を「内」と「外」のどちらに体重をかけて生きてゆくのか。どちらがより愚かな所業なのか。良寛さまはそれを問うているのかもしれませんね。合掌





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市堀玉宗第三句集『安居抄六千句』

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「日に夜をついで」

火を入れて鎌祝ひとはなりにけり

鹿火屋守日に夜をついで昼寝して

森深き月のしづくや猿酒

芒穂に風の生まるゝ美谷村

大豆干す砺波は風の果てもなく

胡麻干すやかげろひやすき鬼屋村

夜や更けて狸うろつく帆山寺

逞しき銃後の尻や牛蒡引く

木になれず倒れし萩を刈りにけり

薬掘る遅くならないやうにして

秋虹の立ち上がりたる杣が家



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「明日知れぬ」

明日知れぬやうに秋蝶来たりけり

龍田姫迎へに万障繰り合はせ

見も知らぬ女素通る秋時雨

秋深くけふをかぎりの顔をして

雁や目鼻分かたぬ道祖神

八千草へことば少なく寄り添ひぬ

行く末が見えたる障子貼りにけり

浮かれ世をこれみよがしに穴惑ひ

行きて帰らぬ空の深さや秋千草

且つ散りて未だ三顧の便りなく

秋風に冷飯を食ふ男かな


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「けだるさの」

遊山なるもみぢに浸かるけだるさの

子を寺に置き去りにしてゆく月夜

生きてあれば風に躓く芒かな

真夜中の井戸の底なる月の貌

墓石の閼伽の藻に鳴く虫の声

銀河よりなだれ落ちたる憂ひあり

秋風におやき頬張る一茶の地

山科に蕎麦喰ふ秋の旅しぐれ

秋の蝶風にあらがひ来たりけり

失ひしひかりを求め穴惑ひ

絶叫の花ありとせば杜鵑草











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