再生への旅

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zoom RSS 今日の一期一会・家族という縁

<<   作成日時 : 2015/12/16 17:35   >>

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楪を分けてもらひぬ今年また 玉宗


主人の母親である姑が亡くなった。夫である主人は既に数年前に他界しており、姑は嫁と暮さず娘夫婦のところで世話になっていた。嫁には二人の成人した子供がいる。姑にすれば嫁は他人であるが孫は血の通った血族である。息子がいなくなった家で淋しい思いや嫁との間に蟠りが生まれたようである。実の娘の元へと晩年を過ごし、そこで臨終を迎えたのである。喪主は娘の夫が勤めた。嫁は葬儀に出席せず、孫もまた焼香をして早々に式場を後にしたらしい。双方の思いを想像するに難しいことではなかったが、死者を送るという節目を優先しなければならず、喪主の意向に添って通夜・葬儀を済ませたのである。

中陰のお勤めの際に双方に伺ってこれからの供養のかたちを話し合った。納骨は嫁の管理するお墓にすることの同意を得た。舅のお墓でもあることだし、それが)筋であろう。嫁は嫁で姑の供養をするに吝かではないようだし、娘夫婦もまた同様の思いを抱いている。そうではあるが、双方の蟠りは一朝一夕には解けそうもない。まあ、時間が掛かるだろう。
家族なればこその甘えがある。家族なればこその救いがある。家族なればこその地獄がある。極楽がある。四苦八苦がある。生老病死との出会いがある。別れがある。家族なればこその学びがある。

人生という諸行無常の一期一会。ひとときの素通りとも言ってよい人生の縁。家族の縁。隣人の縁。社会の縁。この世の縁。信仰を持って生きていくとはそのような危うく、空しい存在である人間の目覚めを促すものであったのだということを思うのである。欲望を越えたところにある魂の彼岸。事実とは本来、善も悪もない。ただそうあるだけである。我ままにならず、貪らず、拘らず、引き摺らず、今を限りと、ありのままの世界をまっすぐに、わたくしなく受け入れて生きる。それだけが永遠へ繋がる唯一の道なのであるということ。

家族もまたひとときの縁である。傷つけ合いもすれば、励まし合い、支え合うこともできる。難しいことかもしれないが我見を張らず、時間をかけてでも良いから、このたびの姑の死という機縁から、各々の足下、心根を点検してほしいものだと願っている。だれも死者を供養し、いのちの繋がり、奇跡、ありがたさに目覚める機縁を邪魔することはできないのだ。


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「どうしたものか」

死ぬる世をどうしたものか落葉掃く

焚火してゐる場合ではなかりしに

姑をどうしたものか葱刻む

雪が来る前の山茶花散りいそぐ

この寒さどうしたものか身に余る

寒木瓜や馴染みの客の声がして

鶴歩むどうしたものかといふ風に

被害者の声落しゆく冬の鷺

畳替へどうしたものか父残る

鱈船の雪の港へ入るところ

雑炊をどうしたものか平らぐる

鯨いま月の浦にて息を継ぎ



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「明日」

帰り花明日は知れぬと思ひけり

目覚むれば冬の雨ふるふゆまぐれ

妻留守の味はひうすきおでんかな

手袋の意のあるごとく忘れあり

枯萩を透かして山へ帰る風

海山に風を孕みし間垣村

実南天厨の窓のその下の

山に入れば泪も枯れて冬苺

海女老いて浜に拾へる玉藻かな

見るかぎり力抜けたる冬菜畑

思ふところありて枯菊焚くことに

賞与得し男らしきがたもとほる

年の瀬の明日が見えたる味気なさ


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「耳朶」

見るかぎり枯野に雨の降る日かな

蒸し饅頭湯気の向かうに母のゐて

担がれて忘年会の父帰る

雪が来る前のしづけさありにけり

月光に凍てたる滝の蒼ざめて

耳朶の仄かに灯る雪もよひ

時間まで鳰の潜るを見て過ごし

花八つ手耳朶ほどのあかるさの

雨音のひとたび絶えて初霰

葉牡丹の犇めき合へる花時計

水仙や耳を澄ませば水の音



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市堀玉宗第三句集『安居抄六千句』

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