再生への旅

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zoom RSS 今日の正法眼蔵・人々の分上

<<   作成日時 : 2016/09/16 18:09   >>

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露けさに眠るも僧となりしより 玉宗

大本山總持寺祖院の二祖国師御征諱法要が終わった。最終日は「対真上堂」があり、禅師様へ雲水さんたちが参拝者の面前で直々に禅問答を掛ける。↓

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若い修行僧たちの真摯な問答を聞いているとときどき目頭が熱くなることがある。衆目の中での禅問答に違和感を持たれる方もいるかもしれな。宗門にも「室内」といったものがあり、師家と一対一の面前端的の中でのやり取りがある。宗門では臨済宗ほど「独参」が僧堂のカリキュラム化されているようにも見受けられないが、そのことの問題点は今は取り上げない。

宗門の「上堂」の様子は自己大己に隠顕なきところでなされるところが真骨頂であるのかもしれない。「室内」といって秘すべきものも、独り善がりになることもいらない「公然」たる様子がそこにはあろう。悟りも迷いも「わが物」とはなりえない「公案」なるものである。自分持ちの「悟り」や自分持ちの「迷い」に滞ている限り、釈尊の菩提樹下での涅槃、道元禅師の眼横鼻直の宗旨、身心脱落の宗旨に叶うことはないだろう。

「悟り」があると言えば求め、ないと言えば求めない。「迷い」あると言えば「逃げ」、ないといえば貪る。そのような「ある、ない」といった領域に執着している修行の実際がある。そこを突き抜けて行かねばならんのだろう。今回の「対真上堂」でも様々にして、似たり寄ったりの、若き修行者たちの「自問」があった。
横で聞いていると、どれもこれも既に「自問」のなかに「自答」が用意されていることが端的にわかる。それを笑うのではなく、公衆の面前ではなおさらに真摯にならざるを得ない彼らの純粋さに胸が熱くなるのを覚えるのである。


「正法眼蔵・大悟」巻の中に次のような一節がある。

「いはくの今時は、人人の而今なり。令我念過去未来現在、いく千萬なりとも今時なり。而今なり。人の分上はかならず今時なり。」

修行者とは求道者でもある。道を求める初心がなくては話にならない。しかし、それは新しい「道」を作りだす作業ではなかろう。自己もと道中にあり、不足も余剰もない今という知足の法に目覚め、そのような命をまっすぐ頂き、生きる覚悟が試されている。どこまで行っても修行は極まりなく、そして他人事ではないのである。そのようにして自己を究め、自己を忘れ、自己を創造し、そのような自己の分上を以て自己に対し、大己に対して社会を往還するのである。

それこそが仏弟子の存在意義といったものではなかろうかと私などは思っている次第。


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「跡形」

謎解けぬまゝに老いたり鳥渡る

遺品とて瓢箪一つありしのみ

夕顔の抱けば重たき実なりけり

露時雨典座裏より始まれり

自然薯を売るには素朴なる男

木天蓼の峠を三つほど超えて

団栗や競ひし兄も鬼籍なる

零余子飯土のにほひがしてならぬ

龍淵に跡形もなき月の道

無花果の熟れたる智慧の甘さなる

蘆の花舟も通はぬ浦島の

忘却の彼方に星の流れけり


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「細み」

震災の跡の原っぱ草雲雀

細みゆく水の流れや枝垂れ萩

山寺の鐘の音にも霧深く

送行の僧一人乗る七尾線

じつとして鳴かぬ竈馬の怖ろしき

地の果てに幸ひありといぼむしり

椿の実金輪際の固さなる

瓢さへ腰に細みのあるものを

過ぎたるは及ばぬ律の調べあり

月影に揺れたる鬼の捨子かな

星月夜幾たび訣れ来たりしか

月光を浴びてこよなく愛されず



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「拱く」

見えてゐる月の遠くて拱きぬ

もう二度と会へぬ遠さの月なりし

月並も疎かならぬ良夜かな

垂乳根の臥所あかるき今日の月

月今宵貧しき家を照らしけり

名月に窘められてゐる如し

十六夜や肩に羽織りし女物

飯食うて牛となりたる十六夜

月の戸や家に一人のろくでなし

嫁がざる姉が二階に雨の月

月の出を待ちくたびれて寝てしまふ

月光に草の如くに眠るなり















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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
説法も良い、俳句も良い。毎日勉強をさせて戴いています。私は、宗派こそ違いますが、現在、浄土真実教行証文類を勉強しております。原文はなかなか読解困難ですが。
呑舞
2016/09/16 19:56
おはようございます。若い修行僧さんたちの、己自身の生きる日常から禅問答へ挑もうとする、何とも素敵な一幕だと思いました。生きていく中に道を求める、どんな時にも大切なことだと思いました。
G
2016/09/18 09:17

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