再生への旅

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zoom RSS 文明という方舟・宗教という方舟

<<   作成日時 : 2016/12/27 17:23   >>

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年の瀬の方舟に乗り遅れるな 玉宗

東日本大震災そして大津波の被害は未曾有の出来事であった。被害状況が報道、放映される中で、大型船がビルの屋上に難破しているものがあったのを記憶している。津波の高さと強さの暴力性が如実に感じられる映像の一つである。不謹慎かもしれないが、あの映像からノアの方舟を連想したのは私だけであろうか。震災遺産にするかしないか議論があったのではなかったかな。

過酷な自然環境を生き抜くために人類は文明力をもって受け入れ、或いは立ち向かってきた。その危うさと恩恵の中で生活を営み、人生を築き上げてきたのである。文明という人類の特権。マクロからミクロの世界まで人類の好奇心は止まることを知らぬがごとくである。自然界における人間の所業は神様にも予想外であったかもしれない。遺伝子操作、原子力の開発などは、人類がパンドラの箱を開けてしまった観さえある。

自然は人間に謙虚さや勇気、忍耐又は癒しや恐怖などさまざまなことを教える。人類の歴史とは、そのような地球の自然に育まれ学び、関わってきた日々でもあろう。永遠を夢見て文明という方舟に乗り出した人類。進歩という幻想の帆に風を受けて何処へいこうとしているのだろう?もう引き返すことはできないのだろうか?

お釈迦様は命の無常を観じ、世を離れて出家なされた。内なる不安を解消するために。それは不安の要素、そしてその解決を自己の外ではなく、内に求めたということでもあろう。自己変革の可能性を外なる現象ではなく、内なる命の深みへ求めたのである。それが出家の本義でり、仏弟子の世界へのアプローチの仕方なのだと私は思っている。進歩観ではなく、退歩観なる所以である。

在ることへの不安。又は、無いことへの不安。いずれにしても不安や煩悩は銘々もちの泡沫の如き、幻想なる代物だ。それは私のいのちの自己防衛本能とも言えなくはない。しかしそれは解決への糸口に過ぎない。様々な「思い」が浮かんだり消えたりしている。その点滅に人は惑わされる。一方で私が思っても思わなくてもなんともない実体世界がある。一如なる世界があり、そこを生きている。

私の思い通りにならないこと、それは私が不安がるほど不都合なものばかりではない。事実そのように生きているし、そのように死んでゆくだろう。今、ここに、こうして、息を吸って、吐いて、抓れば痛い五体、あてにならないようでよりどころとなるわが身心、という無常。色即是空、空即是色。五薀皆空なる今を生き継いでいる事実がある。

この端的にもあからさまな無常以外の、どこに私の世界、私でない世界があるというのだろうか?私はそのような有難くも受け入れ難い答えの中に生きている。いのちの宿命、それは極めて当たり前のことであるが、無常であるばかりではなかろうかと思っている。

文明という方舟、宗教という方舟、ともに無常という大河に棹さ生きて行かざるをえない人類の足跡である。いのち、それは無常を生き抜く、只管なるものの儚い輝きなのかもしれない。




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「何か」

年の瀬を渡る雑踏ありにけり

冬木瓜や日照雨の過ぎたる空の色

隙間から吹き込む風に悪意あり

気弱なるユダが熱燗所望せる

偉さうな父に炭火を委ねけり

白菜の怠けたがるを縛るなり

鮟鱇の顔といふにはほどがあり

すれ違ふ人みな冬のさ中なる

絶望に何かが足らぬ海鼠かな

雪のあと雨に打たるゝ椿かな

炭を焼く類まれなる顔をして

日食を孕みし如く着ぶくれて

時報告ぐテレビつまらぬ湯冷かな

凍月に罵る女ありにけり

闇黒の女謎めく毛皮かな


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「酒」

地の塩の魂鎮めてや山河枯れ

年の瀬や沖を見てゐる心地して

宵越しの銭なけなしの日数かな

素面ではだうにもならぬ寒さかな

誰も褒めてくれぬと燗を熱うせり

鰭酒や酔はねば言へぬことのあり

言はれたるまゝに呑んだる玉子酒

風邪も引かず嘘も嫌ひで生姜酒

手間ひまも都ぶりなる霰酒

老いらくの命惜しめと松葉酒

糟湯酒その日暮らしの味がして

夢もみず半ば投げ遣り寝酒せる

飾らない暮しぶりなる蕎麦湯かな

生姜湯や母に抱かれし温もりの

蔦枯れてお化けが出てもおかしくない

年木積む根雪の里や杣が家




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「海人」

風に生れ風に舞ひ散る波の花

外浦の間垣村なる虎落笛

渤海を遥かに能登や北吹きぬ

夜もすがら空吼ゑ布団ひっ被る

煮凝や海人の朝飯たつぷりと

ずわい蟹戴くことに専念す

雑炊をたひらげし夜の荒びかな

雪の上に抛りし鱈や棒となり

鱈船の纜に雪降り積もり

鰰や夜のうなばら夜の風

寒鰤のまだ跳ねてゐる峠越え

飾りたる松傾きぬ風つよく

雪しまく能登の海鳴り風吼ゑて

半島の空の低さよ冬怒涛





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