再生への旅

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<<   作成日時 : 2017/07/18 04:47   >>

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言霊の石や碑となる涼しさよ 玉宗


お盆の忙しさを来月に控えて閑居している。
人間、暇があると魔が差すと言われるが、逆に暇なしというのもなんだか危うい感じが拭いきれない。「忙しい」という字は、心を亡くすと解釈するのが世の通例で、余り褒められた状態ではないもののようだが、世の中は「お忙しそうでなによりです」などと挨拶を交すように、多忙を羨む風がある。 忙しさも限度を超えて、自己が仕事に振り回されたり、芯がぶれるようなことは好ましいことではないが、それにしても適度に多忙な時間を過ごしているときの、あの充実感というものは何なのだろう。

適度な「忙しさ」の様子を点検してみれば、「こころ」とか「こころでないもの」とか、「つまる、つまらない」などという「余念」がないことに気づくのである。ものや事と一つになっている時、私は何かを忘れている。それはまるで、命が充実するために妄想の出る幕がないかの如きである。 「忘れている」とはそういうことであってみれば、それは決して消極的な命の真相ではないように思えるのだが如何なものだろう。

結論を先に言えば「忘れている」状態というものは決して悔むべき命の全体像ではないと言いたい。私どもお坊さんに引き寄せてものを言えば「行」というものの本質に通う心術であると考えられるのである。もっと云えば「坐禅」の充実感、空虚感、莫妄想の端的に通うものがあろう。只管なるとき人間の心と体は理想的な新陳代謝、アップデートをしているに違いない。

一方で、暇潰しに人生を生きている様なことに陥ってはいなかと危惧することがある。
「無為」とは何もしないことではない。怠けることでもない。道とか法と呼ばれるものに身心を委ね任せる、一つになることであろう。そこにもやはり「こころを忘じる」功夫がある。本来、「暇」「間」とはいのちにとってなくてはならない代物でもあろう。「遊び」「暇」という潤滑油がなければ何事もうまく廻って行かない。


「急ぐな 休むな 夢を追え」


板橋禅師のお言葉である。「夢を追え」が私には如何にも禅師ならではのお示しに思える。並のご老師なら「夢を追え」とは言わない。もっと宗旨に即した決まり文句で事を収めようとするところだ。 「閑」の一事に通じる仏道の極意であろう。「忙しさ」や「暇」が人を誤らせるのではない。ものごとと一つになり切れない、つまり「こころを忘れ切れない」今の真相が問題なのではないか。

私という事実の真相は、忙しかろうが、そうでなかろうが、いつも一つの今の命を生きているには違いない。「夢を追え」とは禅師様流の今を生き切ることの極意であろう。急ぐことも、休むことも、もっと言えば、追うこともない淡々とした命の戴き方を示されておられるのだ。あるがままに、拘りもなく、悟りを忘れ迷いをわすれ、執着をわすれ、自己を忘ずるという充実した「今」になり切る。無為とは独楽が廻っているときに止まっているように見える如く、いのち只管なる様を言うのである。そのような無為なる人の分上は今より外にないものと心得たい。禅師様には次のようなお言葉もある。併せて肝に銘じて生きていきたい。

「雑用というものはない。愚痴があるだけだ」



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「ほど」

頬っぺたが膨らむほどの李かな

萱草の花ちりぢりと日に灼けて

昼寝覚め厭になるほど満足す

夕菅やこころならずも日の暮れて

夏蜜柑兄弟ほどの明るさの

月蝕のはじまる烏瓜の花

昼顔やほどなく凋みゐなくなる

凌霄花水が欲しくてならぬなり

ほどほどに生きてなんだか瓜の花

泣いてゐるやうに真つ赤なトマトかな

生娘に手こずるへくそかずらかな





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「真ん中」

団欒の真ん中にあるさくらんぼ

乱暴にしないでといふ早桃かな

メロン食ぶほとけの母のお下がりの

雨過ぎし水の夕べやダリア剪る

虎尾草を殺めし如く手に下げて

蝶とまり現の証拠の花ゆらす

楊梅を食ひ散らかして鳥去りぬ

暮れてゆく跫ばかり韮の花

烏賊釣船北へ去りしと聞くばかり

褒められて黒々濡れし鵜なりけり

満を持し月下美人の咲き出しぬ

濯ぎたる星も滴る夜なりけり


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「観音」

父母のあの世気なる暑さかな

分蘖や観音祭來るころの

朝顔やいのち儚く寄り添うて

門前は間口狭きや水を打つ

鬼灯や宵の口ゆく人の声

門涼み黄泉の牛車を待つごとし

篝火も涼しき夜の深さあり

万灯供養果てゝ夜風のさざめきぬ

夜爪切る彼方に聞こゆ祭笛

青葉木菟観音山のふところの

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