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zoom RSS 今日の自証三昧、その2「兼業するお坊さん」

<<   作成日時 : 2017/11/10 05:33   >>

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近道をゆけばほどなく冬の暮 玉宗

曹洞宗全国一万五千ヵ寺の中で、二足の草鞋を履いておられるお寺さんはどれくらいいるのだろうか。輪島市内で私が知っている十数ヵ寺のお寺さんの中で、お坊さんだけをして暮らしておられる専業坊さんの方が遥かに少ない。どちらが副業で専業なのか解らない、などという問題は暫く置いておくとして、教師・役場職員・会社員・自営業・自治体職員・市議会議員などをしながらお寺を維持管理されているお坊さんがおられる。大学を終えて帰ってくるお寺の跡取りのために、檀家共々、その子の就職先を探しているというような話も耳にする。お坊さんが職業であるという一面を目の当たりにする。

そのお寺は檀家数からいっても、私の永福寺(檀家なし)や興禅寺(檀家三十軒)とは比べ物にならない筈なのだが、それでもお坊さん以外の職に就かなければならない現実がある。少なくともそのお寺にはあるのだろう。私などはお坊さんをするしか芸がないので、お坊さん専業でやっているだけの話で、それをどうのこうのと自慢するつもりもないが、檀家のすくない中でお坊さん専業をしている私などは、霞でも食べて生きているのか、よほど精進しているのか、おバカさんなのか、欲がないのか、みたいな眼で見られているのだろう。お坊さんも様々である。人間一般がそうであるように。それが現実ではないか。

「片手間にお坊さんをしている」などと批判めいた言葉を耳にすることもあるが、一方には、二足の草鞋を履いてもお寺、ご本尊を護っていこうとされていると尊敬とまでは言わずとも、感心される人がいることも事実である。或いは、二足の草鞋を履いて忙しいことで、などと蓄財に勤しんでいるかの如きもの云いをされることもあるようだ。実に人の世とは面倒なものではある。隣の芝生は青く見え、隣の竈は賑わしく匂うのが常である。

そのような要求はどの世界においてもあり得ることだ。それは理想と現実の狭間で前向きに生きて行こうとする牽引力ともなるだろう。しかし、何事もバランスや節度がある。理想だけが先走りするのも、現実を口実に胡坐をかくのも、共に人生を過つことになりはしないか。というより、生きるとは「今よりほかになかりけり」ということであれば、先走ることも、停滞することも、ともに「今」の真相とは言い難いものとなってしまうだろう。又、本物でも偽モノでも生きていけるのがこの世の実際のところではある。偽モノ、本物、共にいのちの実物である。そして、どちらが人さんのお役に立つか立たないかは一概にいえないものがあるのも現実だ。まことに計り難い人の世と云わねばなるまい。

そんな人の世で、お前はどっちを向いて生きているのか?欲の世界か?欲を超えた世界か?というような自問がある訳だ。

「欲を越えた世界に、ありのままに、縁を生きる」

それだけが仏弟子の本領ではないのかなと私なんかは思っている。確かに、一芸に秀でる者は一芸を専らにするという真実はある。道は極まりのないものだ。一つに専心し深め極めることすらできないのに、二兎を追っている危惧がぬぐえないのも正直なところ。しかし、二足の草鞋が「悪」なのでも「善」なのでもなかろう。「二足の草鞋」を履かざるを得ない「縁」をまっすぐに生きること。「生きること」はいつも「只管」であり、「精進」でなければならない。専業坊さんをしているからと云って「二心」に生きていないとは言えず、二足の草鞋を履いているから「道に通じていない」とは一概に言えない。人の機根、能力、可能性は様々である。お坊さんもまた然り。人のこころは傍からは計り知れないものがある。

お坊さんとは一つの生き方だと言ってみても、それはどの社会でも言い得る事で説得力に欠ける。その道のプロとは余念なく只管に道を生きてきたもののことだろう。ある意味、二兎を追えない不器用さがあるのかもしれんね。いづれにしても、他の塵郷に関わっている場合ではないし、義理もない。私がお坊さんとして今をどう生き、深め、極め、豊かにしているか。常に脚下照顧の今があるばかりとしなければなるまい。





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「音」

落葉踏む音が近づき遠ざかる

働いてばかりの母に暮早し

初しぐれ搦手門に宿りして

茶の花の空に音なき日なりけり

頬つぺたの待ち焦がれたる冷たさよ

父といふ音信不通冬景色

小春日やとある小さな停車場の

渤海の湊を今に神渡し

花はみな音なく咲いて散る山茶花

この辺り能登も南の懸大根

夜を走る風の音あり鎌鼬

遠ざかる星を見てゐる寒さかな













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