再生への旅

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zoom RSS 一生懸命、ってどうよ?!

<<   作成日時 : 2018/10/27 04:19   >>

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杜鵑草風の調べも古りにけり 玉宗

嘗て得度の師匠である板橋興宗禅師に愚痴を言った事がある。
僧堂に出仕していた頃のことである。雲水に少しばかりの毛が生えたような中間管理指導者の立場にあった頃。実力も方便力ないままに大衆の接化を意識するともなく古参然と振る舞っていた。当然のように行き詰まり、周りはだれも相手にしなくなっていく。何を言っても、何をしてみせても話にならない。お手上げである。終いには大衆の方から排斥されるような破目になった。

困ったときの師匠頼み。泣きついた訳である。

「一生懸命やっているつもりなんですけど・・・・、解ってもらえないんですよね・・・」

同情されるものと思いきや、師匠から戴いた第一声は次のような予想外のものだった。

「一生懸命いきていない人がいるの?!」

一瞬その真意を測りかねたが、ほどなく冷や汗が出たのを忘れない。
大きな声で叱責されることも、されたこともない師匠ではあるが、これには参った。青天の霹靂。目から鱗。己が料簡の狭さ、器の小ささ、無能さ、お目出度さ、幼稚さ、偏り、お粗末さ、独善を思い知らされた。「一生懸命やっています」と自分から言ってのけるお馬鹿さんではあった。

私は私の知る限りの価値観で事に当たり、人に当たっていたということ。否、それはそのまま外の世界へ目をつむり、耳を塞いでいたということにほかならなかった。世の中が自分中心に回っているとは思ってはいなかったが、他者との関係を上手く展開させることができなかったのには違いない。自分ができること、できないことをもっと見極めなければならないことを思い知らされた次第である。指導者など烏滸がましい限りではあったのだ。

それにしても「一生懸命」とは何であるか。
「一処懸命」とする向きもあるようだが、余念なく事に当たり、ものに当たり、こころに当たることの大事さを言っているのだろう。それはだれが証明できるだろう。或いは何が証明できるだろうと言うべきか。結果がすべてだ、という見解も強ち無茶とも言えないがなんだか物足りない。かといって、過程が大事だと澄ましているのもなんだか怪しい。なぜだろう。どちらにしても、そこに一生懸命と公言しながら、何かをあてにしたり、見返りを求めたりする欲望の匂いがありはしないか。

宗門には「只管」という言葉がある。
「只管」ひたすらということ。無心といってもいいのかな。ひたすらなるものの尊さ、美しさ、かけがえのなさ、強さ、柔軟さ、豊かさといったようなものがあろう。余念や妄想なく、なりきること。何をするにも、おのれ虚しく、真っすぐに、自然体で、事やものと一体になること。人に寄り添うと言ったようなことも「只管」であれば愚痴の出る幕などありはしない。徹していないからこその愚痴、不満、不安なのだろうね。

只管、無心にいきることの醍醐味と大事さをこの年になって知らされている。



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「襲」

山肌を透かせし霧の襲かな

秋蝶を追ふまなざしのうつろなる

混沌に目鼻付けたる菜虫かな

鵯の嘴梢に拭ひをり

悪い子はいねが早よ寝ろきりたんぽ

冬眠に向かはむとしてゐるらしき

淋しらの首を差し出し鶴来る

監獄に差し込む秋の夕日とも

名山に雪の便りや神無月

啄みに来よとばかりに柿の秋

はればれと月に風吹く芒かな





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「お天道様」

朝に夕に葉ごとに萩のもみづれる

且つ散りて風に駆け出す紅葉かな

手折りたる野菊一輪地蔵尊

木漏れ日を過ぎる秋蝶影もなし

秋麗やうつろに刻のただよへる

蛇穴にお天道様に顔向けが

天上の風やあつ晴れ神の旅

芒ほど勝手な花を知らざりき

検診車降りてほどなく花エリカ

貴船菊散るや袂に触れもせで

冬近し日差し愈々鋭くなりて



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「一つ」

われなくてよかりしこの世露けくも

托鉢の列ゆく秋の村雨を

ひと粒の雨より秋のしぐれかな

わが道の今どのあたり且つ散りて

城下なる雨に祟られ走り蕎麦

秋の野を逸れし心細さなる

方丈の軒にひと竿吊し柿

秋蝶のひかり過ぎれりひとかけら

囚はれの身となおもへり秋の風

しらふでは生きてゆけぬと濁り酒

人を送りし僧衣たゝめり秋灯




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