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zoom RSS 今日の不立文字・「何必」ってどうよ?!

<<   作成日時 : 2018/12/08 05:14  

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炭火爆ぜ人の来る日のうれしさよ 玉宗

宗門の宗師家の御批判と嘲笑を拝することを覚悟して、「何必」という禅語を私なりに繙いてみたい。

「何必」とは「なんぞかならずしも」といったような、謂わば、接語、反折の辞として今も、本場中国でも使われている言葉のようである。

さて、わが高祖、道元禅師は「悉有仏性・悉く仏性有り」を「悉有は仏性なり」と読み下されたことは知らぬ宗門人はいないであろう。文字という指月に対する換骨奪胎に、道元禅師の不立文字の徹底ぶりを窺いしるのは私だけではあるまい。この「何必」もまたそうだ。

正法眼蔵現成公案の巻に次の様な件がある。

 
人もし仏道を修証するに、得一法通一法なり、遇一行修一行なり。これにところあり。みち通達せるによりて、しらるるきはのしるからざるは、このしることの仏法の究尽と同生し同参するゆゑに、しかあるなり。得処かならず自己の知見となりて、慮知にしられんずるとならふことなかれ。証究すみやかに現成すといへども、密有かならずしも現成にあらず、現成これ何必なり。



道元禅師は中国語に堪能だったらしいが、鎌倉時代にどのように発音されていたのか私は知らない。「何必」を「かひつ」と私どもは読んでいる。「げんじょうこれかひつなり」と。

宗門に於いても、当初その意味を「不定・さだめがたい」として解釈されてきた経緯があるそうだが、「なんぞかならずしも」という接語(指示語)が「さだめがたきもの」という実体語となる訳だが、なんだか物足りない。現成は定めがたきものだ?って、わかったようでわからん。というか、説明臭い。倫理道徳の分際の匂いがする。

ここは高祖様に倣って、「何必」を「何の必なり」(かのひつなり)としてみようか。「何」の「必」とはなにか。私に言わせればそれは「公案」と言い換えてもいい。つまり、一度も迷ったことのないいのちという答えそのものこと。「何」という法の自ずからなる有り様を「必」という。公案の只中、成仏の真っ只中で生き死にしている自己という「何必」。名付けようもなく、定めがたきも定まれる、空なるままのもの、実物、実相、それそのもの。

「現成公案」「公案現成」「現成何必」「何必現成」裏から表から、どれもこれも、いのち戴いてる今の話だ。「是什麼物恁麼来」「説似一物即不中」という指標もある。
つまり、人生の一大事因縁である生死の謎解き、自己存在の開明の鍵であるところの前提条件の真相を繰り返しているのではないかな。

高祖様のその膨大なご撰述は教外別伝、不立文字の説破にほかならないだろう。頭の理解で済ましたがる我らに、頭の理解で事が足りるとしているわれらに、言葉という方便を縦横無尽に使い尽くし、換骨奪胎して正体を示さんとされている。知見の先の一大事に目覚めよと、高祖様は仰っているのではないか。知見解会に滞る輩にとって「何必」は単に「不定・さだめなきもの」といった分別の分際にすぎなかろう。「なんぞかならずしも」と理屈に踏みとどまっているのだ。

「ことば・分別」は感性の所産でもあろうと思っている。生き物のようなものであると言ってもよかろう。或いは、存在の影のようなものか。それは特権ともなれば刃ともなる。光ともなれば影ともなろう。それそのものへとよそ見をせず、まっしぐらに身を捨て心を捨て、分別を捨てることが仏弟子の面目ではないか。方便現涅槃ということだ。自己を求めるに恐れず、侮らず、卑屈にならず、慢心せず。作麼生と百尺竿当に進一歩すること。

正法眼蔵には、全巻に高祖様のそのような法孫への慈悲の声、一喝が響き渡っている。拝読するたびに、私はいつもそのように感じる。文字や本質の解釈もなんだが、教外別伝たる祖師の肉声の響きを感じることも我らには大事なことではないのかな。



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「雨ながら」

能登沖に走る白波懸大根

大雪の石に貼りつく濡れ落葉

寒木瓜や冷えまさりたる雨ながら

空へ身を攀じる冬木の軋みかな

屋根を打つ雨の音にも冴ゆる夜の

念仏の手を摺り注連を綯ひにけり

夕さりし雨に打たるゝ冬菜かな

托鉢の銭も手足も荒れにけり

手に享けし成道粥のすぐ冷えて

遠ざかる星のさゆれや臘八会




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「粥」

暁の星の目覚めや冴え渡り

手に享けし成道粥のすぐ冷えて

朝粥に生きたここちや雪もよひ

丹田に潜む息あり吐けば白く

面壁の背中に聞くや霜の声

趺坐解けば俄かに襲ふ堂の冷え

枯れ尽くしたる山のしづけさ冬安居

底無しの夜空よ雪の降り頻り

底冷えの伽藍一灯仄暗く

世間虚仮釈尊大悟の日なりけり










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